利益が出たら節税してますか?
節税って、なんでするんですか?
税金を払いたくないから?
お金を残したいから?
いろんな答えを集約すると、この二つの答えに行きつくと思います。
税金を節約するから節税であって、節税すればお金って残るんでしょ?
そう思われている経営者も多いです。
節税って利益がたくさん出ている会社がやることだから、自分には関係ない、と思われた方もいるかもしれません。
しかし、これからのお話することは、すべての人が陥ってしまう『罠』です。
自分には関係ないと思わないでくださいね。
節税するとお金がなくなる?!
節税をしたことがある経営者は、どんなことをやってきたでしょうか。
例えば、
1.パソコンなどの備品を買う
2.決算賞与を支給する
3.経営者の生命保険に加入する
こんな感じでしょうか。
他にもあるかもしれませんね。
この3つは節税対策としては代表的なものです。
私もかつて会計事務所で働いていた時に、社長から『節税したいんだけど、なににができる?』と聞かれた時は、この3つを軸にお話してました。
それも、今考えれば恥ずかしいことですが…
さて、この3つには共通点があります。それはなんでしょう?
そうです。
『お金が出ていく』
これらは経費を増やして利益を下げることで税金を抑えるようにしています。
つまり、『会社からお金を出すことで経費を増やしている』ということになります。
『税金が低くなればそれでいい』と思っている経営者はこれでいいと思いますが、『節税してお金を残したい』と思っている経営者にとってはこれでいいわけありません。
ある社長と税理士の話
例えば、決算で1,000万円の利益が出そうだと分かったとします。
このままいけば、法人税は約30%なので、300万円ほどの納税になります。
(それはいやだな。)と心で思ったA社長は、Y税理士に節税を依頼します。
保険に加入する、決算賞与出すなどの対策で500万円の経費増ができたとすると、利益が500万円になりますので、法人税は150万円になります。
税金だけでみると、150万円の節税です。
法人税が当初の半分になってA社長は大喜びです。
さて、納税の日になりました(決算日の2ヶ月後)。
通帳をみてみると、『あれ、利益出てたのにお金が思ったほど残ってないな。。節税もしたのに、法人税払ったらほとんどなくなっちゃうじゃないか!』
そこでY税理士に聞いてみます。節税したのにお金がないのはなぜだと。
Y税理士『A社長、節税してますからお金は保険会社にプールしているものがあります。だから大丈夫ですよ。それに税金も半分になったじゃないですか。自分の財布にお金があったのに、知らない間に何かに使っていつの間にかなくなってるってことありますよね?それと同じで、なにかに使ったんじゃないですか?』
それを言われたA社長も、『確かに…。でも使った覚えは本当にないんだけどなぁ。ま、税理士の先生が言うなら、そういうことなのかな。』
そして真相は闇の中…。
お金を残したいのにお金が減る
今のたとえ話はちょっと極端かもしれません。
しかし、これに似た話はたくさんあります。
では、A社長の『利益が出て節税したのになんでお金がないのか?』の疑問に答えていきましょう。
まず、おさらいします。
当初は利益1,000万円でした。これに対して法人税は300万円です。
そして、500万円経費を使って利益を500万円に下げて、法人税は150万円になりました。
ここまではいいですね。
ここからです。
お金の流れだけを見ていきます。
節税前のお金の『出』は300万円です。つまり残りは700万円ですね。
節税後のお金の『出』は650万円以上です。つまり残りは350万円以下です。
これだけで、節税したのにお金が半分以上減る、ということがわかると思います。
さらに、『以上』、『以下』という表現を使いましたが、これには理由があります。
それは、生命保険のせいです。
現在の生命保険は1/2損金タイプが主流です。全損タイプはほとんど耳にしません。
1/2損金というのは、法人税としては生命保険料の半分を経費として認めますよ、ということです。
例えば、300万円の生命保険料を実際に払っても、法人税の計算上の経費になるのは150万円までということになります。
なんで?と言われると、長くなるのでGoogleで検索してみてください。
ということで、A社長は生命保険にも入ったので、500万円の経費以上にお金を払っている、ということになります。
もし、500万円の経費のうち、300万円分が保険だとすると、お金は600万円払っているのことになるので、
節約後のお金の『出』は950万円、残りは50万円ということになります。
節約しなければ700万円あったはずなのに、節約した結果50万円しかない。
何のために節税したんでしょうか。
その場しのぎの節税が会社を悪くする
節税の全てが悪いとは思いません。
悪いのは、『今、利益が出たから、税金払いたくないし節税したい』というその場しのぎ発想で節税をすることです。
今節税してお金を使うことが、経営上いいのかどうなのか、という正しい着眼点を持っていただきたいと思っています。
税理士に頼んでいれば、大丈夫でしょ!と思い込んでいる方も多いです。
保険について言えば、経営者保障のため、最低限の保険に入っておく必要はあるかもしれません。
私はタイミングによっては、生命保険に入らなくてもいいと思っています。
税理士によっては、経営者のことを考えていろんな提案する人もいますが、そう思わせて自分が甘い蜜を吸おうと思っている人もいます。
税理士事務所の多くは保険代理店になっています。
代理店には代理店収入があります。
利益が出ている会社に節税を勧めて保険をちらつかせる…なんて税理士がいないことを願うばかりです。
もし、節税をするなら、なぜ節税をしたいのか、どうして節税なのか、を考えたうえで行動してほしいと思っています。
経費を増やす節税は、お金を減らすだけでなく、銀行の評価も悪くします。
節税によって何を得たいのか。
お金の流れを理解することで、節税というものが初めて威力を発揮します。
銀行については、長くなるのでまた次回にします。
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