銀行が会社を評価するのは決算書

銀行の評価方法

銀行との関係は、いい方がいいに決まってます。

銀行が会社を評価ときに使うものは、『決算書』です。

決算が終わるころに、銀行員から『社長、そろそろ決算書できましたか?いただきたいんですけど~。』って言われたことありますよね?

なんで決算書がほしいかっていうと、格付けするからです。

格付けって聞いたことありますか?

銀行と長く取引している社長は聞いたことあるかもしれません。

私がいた銀行では格付けは決算月の3ヶ月後まですることになってました。

決算月の2ヶ月後に決算書ができることが多いので、決算書をもらったら1ヶ月以内にやれっていう仕事です。

これは、機械的に決算書の数字を格付けシステムにいれていくだけです。

今はどうかわかりませんけど、当時はそうでした。
今もそんなに変わってないと思います。

数字を入れて、『はい、正常先です。』『はい、要注意先です。』っていう感じで、これも機械的に振り分けられます。
この振り分けは、ちょっと変わったかもしれません。
ただ、大筋のところは、決算書の内容でほとんど決まります。

決算書の中身の説明できますか?

私が銀行員だったころ、ある疑問がありました。

とあるA社長に決算書をもらいながら、話をします。

私『決算書、ありがとうございます。今期も黒字ですね。ん~、あれ、この雑収入の500万円ってなんですか?』

A社長『雑収入に500万円?そんなにあるの?』

私『はい。ここですよ。これって中身わかりますか?』

A社長『なんだろうね、、ちょっと待ってね、、おーい(奥さんを呼ぶ)』

私『(自分の会社の決算書なのにわかってないの?大丈夫か?)』

と、まぁこれに似たことがよくありました。

もちろん、即答してくれる社長もいました。

ちなみに、雑収入の中身は科目内訳書に書いてあります。

さらに質問を続けていくと、要領を得ない答えや、挙句の果てには『おれは感覚の人間だから、細かいことは税理士に聞いてくれ』なんて言われたこともあります。

いやいや社長、感覚で生きてくのはいいんですけど、社長の会社のこと聞いてるのに税理士に聞けはないでしょ。

というのが本音でした。

自分の知らないところで会社が評価されている

決算書なんてしらん!

と割り切る前に、ちょっとお付き合いください。

決算書自体は税理士が社長に代わって作成します。

そして、その決算書を使って銀行員が会社の評価をします。

この流れに社長は関与してますか?

もししてないとすると、社長の知らないところで会社の業績が決まり、社長が知らないうちに会社が評価されています。

これって怖くないですか?

税理士は銀行の評価がよくなるような決算書を作ってくれてるって思ってますか?

税理士は銀行員ではありません。

税理士が作る決算書は、基本的に会計の基準に従っています。

これは、お国が決めた基準です。

つまり、国税関係者が見やすいように作られています。

しかも、税理士がみんな同じように会計処理しているかというと、そうではありません。

会計の基準がありつつも、えいやーってやっているときもあります。

そんな決算書で銀行の評価上がりますか?

そんな決算書作られているかもしれません。

銀行員がどこをみるのかを知る

これがわかっていれば大丈夫です。

税理士もわかっている人多いですけどね、『会計の基準』という従わないといけないものがあるので、頭が硬いんです。

決算書のどこが大事なのか。

まずは、現金預金残高。カネある?ない?

次に、純資産。貸借対照表の右下です。
ここがマイナスなら、渋い顔をされます。

そして、営業利益。ここは本業で成果出てるのかどうかを見ます。

さらに、経常利益、当期利益…といった感じです。

じゃぁ、評価をよくするにはどうしたらいいか、ですね。

現金ないのにあるように見せるのは粉飾なのでダメです。

当期純利益(損益計算書の最後の利益)を増やすことも、粉飾なのでダメです。

粉飾せずによく見せる方法は、あります。

数字に移動してもらう

銀行が損益計算書で重要視するのは、営業利益です。

本業で利益が出ているかどうかですから、ここでたくさん黒字の方がいいです。

営業利益はどうやって求められるかというと、

営業利益=売上-原価-販売費及び一般管理費 です。

A社長の会社のように、雑収入が500万円あっても、営業利益には貢献してくれません。

そこで、この雑収入に注目します。

雑収入の中身をみると、仕入れのリベート、備品購入時のキャッシュバック、建物を共同で使っている人からの共益費の受取り分だったりしました。

確かに、会計の基準からすれば、間違いではないでしょう。

しかし、ここをちょこちょこっと移動させます。

仕入のリベートって仕入の割り戻しですね。ということで原価に移動。

キャッシュバックって、実質値引きじゃないですか。ということで販売費及び一般管理費に移動。

共益費の受取り分も共益費折半ってことですよね。ということで販売費及び一般管理費に移動。

これだけで、営業利益が500万円増えます。

最終的な利益は変わりませんので、粉飾ではありません。

このようにして、実際に1,500万円の営業利益を増加した企業があります。

もともと1,000万円の営業利益でしたが、2,500万円にできたという話を社長にすると、

『そういうのは税理士にまかせっきりだった。銀行の評価がよくなるように作ってくれていると思っていた』

と言っていました。

税理士は税金のプロでありますが、お金のプロではないということがよくわかる事例だと思います。

自分の会社の決算書であると自覚する

決算書は税理士が作ってくれますが、自分の会社の決算書であるということを自覚しなければなりません。

税理士の会社ではありません。社長の会社です。

税理士が言うことが全て正しいわけではありません。

ここまで税理士の悪口みたいなことをたくさん並べていますが、

税理士の名誉のために。

経営について勉強している税理士もいます。

銀行の評価方法についても勉強している税理士もいます。

社長の会社の税理士さんが、そういう熱心な税理士さんであればその方にお願いして大丈夫と思います。

ただ、決算時に打ち合わせもない、決算分析もよくわからない、そもそも決算書できましたって言われて納付書渡されて終わり、というような税理士や会計事務所なら、関係を見直してもいいかもしれません。

社長が銀行から融資を受けたいと思ったときに、満足のいく結果にならない可能性があります。

それでは社長自身も、社長の下で働いてくれている社員も不幸です。

たかが決算書かもしれません。

しかし、その決算書で、今後が左右されてしまいます。

なんか知らないけど、税理士が作ったから、という経営はもうやめましょう。

社長の意思で決算書を作りませんか。

 

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