会計事務所がする決算分析
気の利いた会計事務所は『決算分析』をしてくれます。
会計事務所によって、その方法は様々です。
ただ、共通しているのは、過去数年分の損益計算書を並べていることです。
多くて5年、少なくても3年分は並べて見せてくれます。
過去の推移がわかるので、売り上げが増えた減った、利益が増えた減った、固定費が増えた減った、そんなところがわかります。
そして、よくある話が、『2年前は人員増加しているので、人件費が増えてましたね~』とか、『3年前は新店舗オープンしたので消耗品関係が多くなってましたが、それ以降は〇万円前後で推移してますね~』という、中身があるようなない会話。
『そんなこともあったね。』って感じですよね。
知りたいのはそこじゃない!!って思いませんか?
そして、資金繰りの話になると、訳のわからない言葉が出てきて、なんかよくわかんないな~ってなります。
『売掛金が増加したので資金が減っていて、在庫は減ったので資金は増えてます。前払費用は保証協会に払った保証料なので、その分今期は増加しているので、お金がその分減ってます。』
『???』
増加だの減っただの、何言ってんの?
そういう空気を自分自身感じていたことがあります。
ホントに過去の自分は恥ずかしい限りです。
自分の中ではわかってるんですが、どうも相手に伝わらないんですね。
そりゃ、専門用語ばっかりじゃわかりませんよって、今は思います。
利益が出たのにお金は増えてないけど?
これもよくある話です。
利益が出たのにお金が残ってない。
税金払えばなくなるよ!って言われたこともありますが、果たして本当にそうでしょうか。
利益が出たのにお金がない理由は『決算書』にすべて載っています。
ただ、残念ながら損益計算書には載ってません。
貸借対照表に載っています。
どうやら、この貸借対照表がくせ者のようです。
先ほどの資金繰りの話も、ほとんどがこの貸借対照表の内容です。
2年分の貸借対照表があれば、資金繰りが大体わかります。
あんまり大きい声で言えないですけど、この貸借対照表が超重要ってわかっていない会計事務所の人、多いです。
社長がお願いしている会計事務所の担当者は、この貸借対照表の話を毎月してくれてますか?
損益計算書だけで終わってませんか?
もし、損益計算書だけで試算表の説明が終わっているなら、貸借対照表をわかっていない可能性あります。
まぁ、このことについてあまり書くと、問題ありそうなのでこの辺で止めときます。
利益とお金の関係
当然ですけど、利益がなければ、お金は増えません。
借入すればお金は増えますけどね。
純粋に、単に営業活動でお金を増やす、とすると、利益を出すことは必須です。
ここまでは、そりゃそうだ、ですね。
利益が出たのにお金が残らない理由をこれから解説します。
前回の節税については、前回の内容をみてくださいね。
さて、またA社長に登場していただきましょう!
A社長は決算で500万円利益が出ました。
法人税は150万円でしたので、350万円のお金が残っているはずです。
補足として、減価償却費や売掛金、買掛金等は考えないことにします。
しかし、通帳をみると、
『あれ、お金増えてないし。むしろ減ってるし。利益でたのに!』
A社長の会社はいつまで経ってもお金が増えませんね。
決算書は、1年間(12ヶ月)で締めます。
なので、350万円残っているはず、というのは1年間の営業活動の結果です。
資金繰りにおいて、考えなければならない重要なことがあります。
それは、『借入金の返済』です。
長期で借りた場合、毎月返済していると思います。
その返済はどうやってしているかというと、
『税金を払った後の利益から返済する』
このようになります。
つまり、営業活動において利益が出て、税金を払った後に余ったお金から銀行に返済する、ということになります。
A社長は毎月30万円の返済をしていました。
年間にすると、360万円です。
税金を払った後に350万円の残金があったはずなのに、そのお金がなくなっていたのは、銀行に返済していたから、というのがその理由です。
通帳残高も長期借入金も、貸借対照表にしか載っていない
『返済って経費じゃないの?』
そんな質問をよく受けました。
返済は経費ではありません。
もし、返済が経費になるなら、借り入れしたときのその入金は『売上』にしないといけません。
そんなわけないですよね。
利息は経費ですけどね。
そして、この通帳残高や長期借入金残高は損益計算書には載っていません。
貸借対照表に載っています。
なにより決算書の中で一番重要な科目は『現金預金残高』です。
決算書を出して表紙をめくると貸借対照表があり、そのいの一番に出てくるのが現金預金残高です。
ここがゼロになったときに、会社は倒産します。
会社が立ち行かなくなるときは、資金がなくなったときです。
売上がゼロになったときでも、大赤字になったときでもありません。
それがわかるのは、貸借対照表なのです。
損益計算書を中心に決算分析をしても、貸借対照表を見なければ、ここまで分析することはできません。
貸借対照表が超重要という理由はここにあります。
現状分析と今後の予測は貸借対照表を使う
貸借対照表ってなんか難しそうって思いますよね。
でも実は、それは『思い込み』です。
会計事務所の職員ですらわからないのに、というある種の刷り込みです。
貸借対照表を理解するのに、専門知識はほぼ必要ありません。
よほど詳しく!となれば専門知識は必要ですが、ポイントだけでいいです~っていうレベルなら、専門知識は不要です。
ちょっと知ってるだけで、自慢できちゃうくらいになります。
この会社はいい会社なのかどうなのかっていうことも、なんとなくわかるようになります。
銀行員でもわかってない人もいますので、銀行員超えレベルにはさくっと到達します。
当然、勉強している銀行員もいますので、知ったかぶりすると、やられます。
それはいいとして、会計事務所の決算分析がすべてではない、ということです。
本当に大事なものは、現金預金残高。
ここだけでも、しっかりと見ておかなければなりません。
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