後継者だけが引継ぎ先ではない

個人(人間)は必ず召される時が来ますが、法人(企業)は永遠に続くことが前提とされています。

現在、中小企業の後継者不足が問題になっています。

以前から問題になってましたけど、ここにきてさらに言われるようになりましたね。

2017年の帝国データバンクの調査によると、中小企業の66.5%は後継者がいなくて困っているということです。

日本の中小企業の数は約360万社(2016年・中小企業庁統計)なので、後継者不足の中小企業の数は約240万社。

中小企業で働く雇用者数は約3,300万人なので、もし後継者不在で廃業となった場合に失われる雇用者数の概算は、約2,200万人。

あくまでも概算値ですが、このままではまずい、ということはわかると思います。

後継者ではなく後継社も選択肢に入れる

後継者がいないのであれば、後継社を探すことが必須です。

後継社、つまり、M&Aです。

以前はM&Aと聞くと、大企業がやるもの、というイメージでしたが、今ではそんなことはなくなりました。

中小企業でも一般的に、戦略の1つの選択肢として扱われるようになっています。

M&Aのメリットはなんなのか、というと、

まず、雇用が守られます。後継者がいないと悩んでいる社長の下で働いてくれている社員さんたちの雇用は絶対に守らなければなりません。

その社員さんたちには家族もいるかもしれませんよね。それならなおさら働く場所を失わせてしまうようなことをしてはいけませんよね。

次に、社長の退職金が生まれる可能性があります。会社を畳むとしてもお金がかかります。これまで一生懸命働いてきた社長の退職金が用意できない、、ということもあり得ます。

しかし、M&Aによって会社を売却することで、お金が生まれます。その資金を基に退職金を支払うことも可能になるのです。

そして、技術の継承ができます。廃業してしまうと、積み上げてきた技術が途切れてしまいます。この技術の寸断は日本の高い技術力を失うことになり、国力の低下にも影響を与えてしまいます。自社の技術力を後継社に引継ぐことで、その技術力がさらに磨かれることも期待されます。

かつて日本の航空機制作技術は世界一と言われていました(戦時中のゼロ戦が代表です)。太平洋戦争後、GHQはその高い技術力を恐れ、航空機の制作をできないようにしたのです。その結果、現在の日本の航空機制作における技術力は世界に遅れをとっています。

地域・社員を守るためのM&A

これまで続けてきた会社を他人に引き継ぐことに抵抗があるという方もいらっしゃると思います。

しかし、その自分のエゴにより、地域や社員、そして自分自身が悲しい思いをしてしまうのでは、本末転倒です。

社長自身の想いに共感し、社長の会社をさらに発展させていくという想いをもった後継社は必ず現れます。

そういう後継社を探せばいいのです。

そんなに簡単に自分の想いをわかってくれる他人はなかなかいないよ、と思われるかもしれません。

しかし、社長と長年一緒に働いてくれて来た社員さんたちには社長の想いは伝わっているはずですよね。

社長の想いは社員さんたちに引き継がれています。

社長は、その社員さんたちのことを守ってくれる後継社を探して、安心して生活できる場を提供していきましょう。

そして、社長自身も第二の人生を過ごしていきましょう。

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